シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 やがてインフォメーションが目に留まり、迷子捜索の放送をして欲しいと駆け込んだ。颯太の年齢から服装まで事細かく聞かれ、それに応対する。案内放送が流れ、数分そこで立ち尽くした。

 けれど、やはり居てもたってもいられず、自分でも捜索を続ける事にした。

 インフォメーションのお姉さんに携帯番号を教えて、颯太らしき子を誰かが連れて来てくれたら電話をかけて欲しいと言付けた。

 私は一階のフロアを闇雲に駆け回り、颯太の名前を呼び続けた。二階に続くエスカレーターを昇り、同じ事を繰り返した。

 疲れて立ち止まった時。全身から力が抜けて、思わずその場にしゃがみ込んでいた。

 ーーどうして? 何でこんな事になったんだろう?? 私は何を間違えたの?

 電車を見におもちゃ屋さんに連れて行かなければ、颯太が怒る事にはならなかった??

 何で、何で…何で……??

 考えても仕方のない問いが頭の中を埋め尽くした。

 何でこんな事に、何で、と考えた所でハッとした。

 ーー「何でぼくにはパパがいないの?」

「……そうだ」

 颯太はこの"何で"をずっと胸に抱き続けてきたんだ。

 私が本当の事を言わずに、曖昧な答えしか与えなかったから、ずっとモヤモヤさせて同じ問いを何度も頭の中で巡らせていたはずだ。答えが貰えないと次第に苛立ち、爆発する。

 まだ四歳のあの子に、私はこんな不安な思いをさせてきたんだ。
< 251 / 430 >

この作品をシェア

pagetop