シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「……颯太っ、……ごめん」

 しゃがみ込んだままで、私は頭を抱えて泣いていた。子供でも無いのに、不覚にも、こみ上げた涙は止まらない。

 そうしている間も、迷子の案内放送は定期的に流れてくる。

 暫く肩を震わせて泣いていると、「水嶋、ちゃん……?」と迷いに似た呼び掛けがすぐそばで聞こえた。

 ーーうそ、知り合い?

 慌てて涙を拭い、顔を上げる。

「……あ」

 ーー津島さん。

 その姿を見て、即座に羞恥心が舞い戻ってくる。私は慌てて立ち上がった。

 こんな公共の場所でしゃがみ込み、泣いていたのが恥ずかしくて、俯いたままで何も言えずにいた。

「え、どうしたの?? 何かあった??」

「……あ、いえ。あの……」

 津島さんは心配して声を掛けてくれる。その思いやりすら申し訳なくなり、私は肩をすくめて赤面していた。

「おーい、りぃ兄。そんなとこで何して……ちっ、ナンパかよ?」

「馬鹿、ハル。何言ってんだ、知り合いだよ」

「え〜〜っ?」

 津島さんの連れの男の子が私に近付き、顔を覗き込んだ。更に恥ずかしくなる。

「え!? あの時のお姉さん?? 何で??」

 ーーは……?

 突然声を上げた男の子のリアクションに、私は首を捻った。彼は目を丸くし、私を指差している。

 見た目、若くて、学生みたいな茶髪で、一瞬うちの専門学生かなと思ったけれど、購買では見た事が無い。
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