シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「あの……?」

 リアクションの意味が分からなくて首を傾げていると、津島さんが「こら、お前は。指を差すな!」とその男の子に注意した。

 ーー津島さんとどういう知り合いなんだろう?

 清潔感があって、真面目な津島さんとは正反対みたいな男の子だ。

 でも、どうしてだろう。

 ーーどこかで会ったような気がする。

 暫く何も言えずに、私はその男の子の顔をまじまじと見つめる羽目になった。

 お洒落に髪型を整えて、奥二重で割と色白で、とがった顎の形が綺麗だ。あどけなさの残る顔立ちをしているせいか、高校生の制服を着ていてもきっと違和感がない。

 そんな事を考えるのだが、どう足掻いても思い出せない。会ったような気がする、というのは最早勘違いかもしれない。

「ハル、お前知り合いか?」

「前に一回ね、駅で声かけた」

 ーー駅?

「声かけたって、まさかお前ナンパしたのか?」

「そうだよ? だって好みだったから」

 ーーナンパ??

 そういえば。前に颯太とはぐれた時、場違いにも男の子に声をかけられた。

 ーーあの時の男の子が……この子?

 私は再度、その彼に目を据えた。

「あ、思い出してくれた? 俺、皆川 (はる)って言いまーす」

 ーーそうだ。あの時もこんな感じの男の子に声を掛けられた。

 私は眉を下げ、ため息をもらした。

 ***
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