シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
20.再会と新年度


 《……ご来店中のお客様に迷子のお知らせを致します》

 不意に館内放送がまた流れて、私はハッと顔を上げた。

《……付近で、黄緑色のジャンバーに紺色のズボンをお召しになった、四歳ぐらいの男の子が、お連れ様とはぐれて迷子になっています》

「水嶋ちゃん?」

 《……お心当たりのお客様はお近くの従業員までお知らせください。繰り返します、今日十二時頃、一階トイ・ショップ付近で》

 私は不安に眉を寄せ、津島さんに慌てて頭を下げた。

「すみません、私、急いでますので」

 そう言って走り出そうとした所で、右手を掴まれた。

「待って! もしかして、息子さんが迷子なの!?」

 瞬間、「え」と自己紹介したばかりのハルくんが怪訝な顔をする。

 私は津島さんを見たままでまごついた。

 こんな家族連れの多い場所で子供とはぐれるなんて、もはや母親失格な気がして、どう言っていいか分からずに、ただコクンと深く頷いた。

「それは大変だ、僕たちも協力するから手分けして探そう! 息子さんの写真ある?」

「……あ、はい」

 言われるがままに、私はスマホを取り出し、待ち受け画面を見せた。

「……うん、覚えたよ。あとは黄緑色のジャンバーに紺色のズボンだね?」

「はい」

「僕たちで一階からまた探すから、水嶋ちゃんは二階を探して貰える? 男子トイレの中とかも探してみるから」

「あ、はい」
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