シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 それから待ち合わせの場所を決めて、一階のインフォメーション付近で合流する事にした。

 電話を切ってから、私は津島さんと連れのハルくんに事情を説明した。津島さんは「鳴海が?」と驚いた後、そういう事ならと一緒に一階へ付いて来てくれると言った。

 エスカレーターを降りて向かっている最中(さなか)、どういう経緯で颯太とはぐれたのかを尋ねられた。

 どうしてパパが居ないのか、という颯太のデリケートな部分には触れず、おもちゃ売り場で駄々をこねられて走り去られてしまった、と曖昧な説明をした。

 迷子放送を流してくれたインフォメーションのお姉さんに、知り合いが見付けてくれたのでもう大丈夫です、と丁重にお礼を言った。

 程なくして、鳴海くんのプラチナブロンドの髪が見えた。颯太は鳴海くんと手を繋ぎながら、彼の後ろで縮こまって隠れていた。

「颯太っ」

 鳴海くんに何かしらを諭されながら、颯太がおずおずと私に歩み寄った。

「……ママ。ごめん、なさい……」

「〜〜っ! もうっ、颯太ぁ!」

 私は膝を付き、その小さな体を抱きしめた。

「ママ、死ぬほど心配したんだからねっ?? どうしてママから離れたりするの!!」

「……ふぇっ、ごめんなさぁい、ママーっ、うわぁあ〜んッ!」

 颯太は私にしがみついたまま、暫く泣き続ける。ヨシヨシ、と背中をさすりながら私は鳴海くんを見て微笑んだ。

「ごめんね、鳴海くん。ありがとう」

「……いや」
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