シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?

 一瞬、何を言われたのか理解が追いつかず、「今なんて言ったの?」と聞き返していた。

「ジンくんと遊びたい、遊べるかけーたいで聞いてよ、ママっ」

 そう言って、タタタとテーブルに置いたままのスマホを取りに行き、私に「はい」と言って手渡した。

「……あ、うん」

 ーーどうしたんだろう、颯太。何で急に鳴海くん?

 以前みたいに仲良くしてくれるなら、願ってもない事だけど。

 突然の事に私は狼狽るが、彼の番号を呼び出し、颯太に目線を合わせた。

「でも颯ちゃん。急な事だし、お約束してないから、無理だったら諦めるんだよ?」

「わかってるよー」

 ーー特に予定は聞いて無かったけど……都合が良いといいなぁ。

 液晶をタップし、鳴海くんに電話を掛けた。

『沙耶さん、おはよう。どうしたの?』

 数回のコール音で繋がり、安堵する。

「おはよう。急にごめんね? あのね。今日って鳴海くん、何してる? 何か予定あった?」

 彼が電話の向こうで『え…』と口を噤む。

『今日は課題片付けるぐらいだから、基本ヒマだけど。どうかした?』

「……うん」

 ーーどうしよう、課題あるんだ。課題終わったらで頼んでみようかな?


 そう考えている合間も 颯太が側に来て「ジンくんなんて??」とせっついてくる。

「ごめんね、実は颯太が」と言って、手短かに用件を話した。
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