シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 枝なんてどうするんだろうと思いながら、公園の隅々に植えられた桜の木の根本を彷徨(うろつ)いた。パキッと割るには少し苦労しそうな、丈夫な枝を二本拾う。

「鳴海くん、これでいい?」

「お。上出来です。颯太くん、これでそっちからトンネル掘ってくれる?」

 今しがた拾った枝の片方が颯太に渡る。

 ーーあ。なるほど、それで掘るんだ。

「えー、ぼくお砂場セットのスコップもって来たよー?」

「颯ちゃん、それだと少しサイズが大きいんだよ?」

 颯太は黄色いスコップを持ったまま、首を傾げてむくれている。

「颯太くん、このちっちゃな棒でアリさんみたいにホジホジするの、楽しいよ〜? お兄ちゃんとどっちが先に掘れるか競争しよ?」

 ニヤリと笑った鳴海くんの仕草を見つめ、颯太の瞳が一瞬にして輝いた。

「……うんっ」

 それから二人は拾った棒で器用にトンネルを掘り進めた。途中、颯太の方で山が崩れかけるが、また水で修復して慎重に穴を掘る。

「うわぁ〜っ、できたぁ!!」

 開通したお山を見て、颯太は蘭々と目を輝かせた。開けたトンネルを覗き込み、鳴海くんと目を合わせて天真爛漫に笑っている。

「トンネルも出来た事だし……どうする? 外側に続けて水路も作ろうか?」

「うんっ!」

 それから二人は砂場遊びに没頭して、水路を作ってそこに水を流し、小枝を拾い集めて小さな橋を架けていた。水路から繋げてダムを作っている様を見て、クスッと笑みがもれる。
< 271 / 430 >

この作品をシェア

pagetop