シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 どうやら私の出る幕は無さそうだ。

 二人とも、全身砂だらけで、水を使ったせいか顔に泥も付いている。

 そこでグゥ、とお腹が鳴り、腕時計に目を落とした。

 ーーあ。もう十二時前か。

「颯ちゃん! もうそろそろお昼だし、お家に帰ってお昼ご飯食べようか?」

 そう言って声を掛けると、颯太は予想通りむくれていた。

「えぇーっ、ぼくまだ遊びたいーっ!」

「でももう十二時だし、帰ってご飯食べないと」

「イヤーっ、お腹なんて空いてないもんっ! まだジンくんと遊ぶのっ!」

 ーーうーん。どうしようかな……。

 困って嘆息し、鳴海くんに目配せする。

「あー……俺もまだ大丈夫ですよ? 夕方に帰れば良いし」

「……あ、うん」

 普段だったらちゃんと言い聞かせないと、と思うのだが。きっと私自身が、鳴海くんと遊んでいて欲しいと思うせいだろう。私は「じゃあ」と言って颯太に提案した。

「ママ、これから一度お家に帰って三人分のお弁当作って来るから、颯ちゃんはこのままジンくんと遊んでてくれる?」

「……えっ! いいの??」

「うん。一時間ぐらいかかっちゃうかもしれないけど、それまでジンくんと一緒に待てる?」

「うんっ!」

 颯太は嬉しそうに頷き、鳴海くんに向かって「やったね」と顔を綻ばせていた。
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