シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ーー大丈夫かな? ゆうに一時間はかかりそうだけど……。

「颯太隊員!」

 不意に鳴海くんの声が掛かり、颯太がハッと顔を上げた。

「空腹でのトンネル開通工事は困難だ。よって、先にママが作ったお弁当を食べてパワーを付けよう!」

「おー、あいあいさー!」

 ーーおおぉ……っ。なんかよく分からない関係がちゃんと築かれてる。

 それから近くのベンチに移動して、お昼をとる事にした。先に持って来ていた荷物も、砂場近くのベンチから移動させて、二人にはその間に手を洗って来て貰う。

 さっきまで遊んでいた砂場には、また別の子供が入っていて、山や水路は呆気なく壊されていた。

 ーーしまったな。どうせなら写真撮っておけば良かった。

 嘆息しながらベンチに戻り、レジャーシートを広げて三人でお弁当を食べる。

 ーーあ。

「鳴海くんも颯ちゃんもコレ」

 言いながら二人におしぼりを渡す。二人とも「手洗ったよ?」と言いたげにキョトンとしていた。

「ふふっ、二人ともほっぺに泥が付いてる。それ落としてから食べてね?」

「……え」

「はぁい」

 ママどこ、と聞かれるのでサッと颯太の頬から汚れを拭き取る。鳴海くんはとりあえず両頬を拭いていた。

「うふふっ、まだ付いてるよ?」

「え、どこですか?」

「ここ」と言って指先で彼の頬に触れる。その瞬間、鳴海くんの頬がカァッと赤くなり、ハッとして颯太に目を向けた。

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