シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 それからは一度着替えを済ませ、ブランコや滑り台といった遊具で一通り遊び尽くした。三時半を過ぎてから、三人で帰路を辿る。

「今日、すっごいたのしかった! ジンくん、また遊ぼうね!」

「うん。お兄ちゃんもだよ、また誘ってね?」

「うんっ!」

 バイバーイと言って手を振り、颯太は上機嫌で家へと入って行った。

「鳴海くん、課題あるのに今日一日付き合ってくれてありがとう。あんなに嬉しそうな颯太、久しぶりだよ」

 ううん、と言って彼が首を振る。

「沙耶さんは……やっぱり良いママだね」

「え?」

「颯太くんがああやって笑えるのは、ママが全部を受け止めてくれるからだよ」

「……そう、なのかな」

 日頃から颯太のわがままを上手く言い聞かせられない事に、私は自信を無くしていた。だからこそ、余計に鳴海くんの言葉が心に染みた。

「お弁当もありがとう。美味しかったよ」

 それじゃあまた明日、と言って彼が家へと向かって歩き出す。その姿を見送り、手を振った。

 リビングに入ると、颯太がソファーにもたれ掛かりながら寝息を立てていた。「今寝たところ」と言って、母が毛布を掛けてくれる。

「随分と鳴海さんに遊んでもらったみたいね?」

 キッチンスペースのテーブルへ移動して、母が淹れてくれた紅茶を口にする。真向かいに座った母を見て、私は笑顔で頷いた。
< 279 / 430 >

この作品をシェア

pagetop