シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 駅の改札を通り、数本停まった電車の中から早めに着くそれに飛び乗った。

 ーーふぅ。

 駅に停めた自転車を飛ばせば、七時過ぎには家に着くかもしれないな。

 私は一度取り出したスマートフォンを、また鞄の中に仕舞い込んだ。

 程なくして、プラットホームに発車ベルが鳴り響き、車内に扉が閉まるガイダンスが流れた。

 その時だ。プシューッと音を立てて閉まる扉をすり抜けて、男の子が一人乗車する。

 ーーえ。

 突然乗り込んだのは、息を切らした鳴海くんだった。時間にして数秒、私は目を丸くして彼と見つめ合う。

『駆け込み乗車は、大変危険ですのでおやめ下さい』

「……あ」

 車内ガイダンスを聞き、鳴海くんが「すみません」と誰にともなく謝った。

 周りの乗客、特にOLさんからだろう、クスクスと忍び笑いが漏れる。私もついぷっ、と吹き出してしまった。

「鳴海くん、危ないよ?」

「……うん。だよね〜」

 学校で毎日顔を合わせているせいか、お互いに敬語で話すのをやめていた。

 ーー全く、この子は。

 初めて会った時と言い、どうも駆け込むのが得意みたいだ。

「今日遅くまで残ってたんだね?」

「……あ、うん。課題やったりしてて…それで」
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