シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「凄いの。いつの間にか颯太ってば、鳴海くんに懐いていて、びっくりしちゃったよ」

「……そう」

 母はマグカップを持ち上げ、意味深に含み笑いをした。

「でも、沙耶。いつの間にか…じゃないのよ?」

「……え?」

 母はソファーで寝入る颯太を振り返り、笑みを崩さずに続けた。

「颯太。ここ何回か、鳴海さんと二人だけで話す機会があったみたいね?」

「……。え、そうなんだ?」

 ーー二人だけで? でもおかしいな。颯太の側にはたいがい私がいるから、二人で話す機会なんて無かったはず……。

「この間もね、お迎えの帰りに公園に寄ったら、いつの間にか鳴海さんが来てて……何かしら? 二人でお話してたわよ?」

「鳴海くんが……公園に来たの?」

 駅から家に向かう道とは方向が違うのに……。

「うん、どうしてかは分からないけど。時々寄って帰るって言ってたわよ?」

「そうなんだ」

 母はその時の事を思い出し、ふふっとまた笑う。

「その時にね。ちょっと面白い事があったの」

「……え」

 ちゃんと颯太が寝ているかどうかを確認してから、母がその日の事を順を追って話してくれた。

 ***

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