シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？
　颯太が負けじと言い返し、とにかく喧嘩を止めようと母が走り寄った時、「颯太っ」と入り口の方から声が聞こえた。

「遅くなってごめんなー？　一緒に遊ぼうって約束してたのに」

「ジンく」

　帰ったと思っていた鳴海くんが、颯太の元へ駆け寄り、シッ、と口の前で指を立てた。突然現れた奇抜な彼を見て、三人の子供たちは唖然としていた。

「颯太のお友達か？」

「……う、うん。ほいく園のこ、だよ」

「そうかそうか〜、颯太は友達がたくさんいるんだな。＂パパ＂全然知らなかったよ」

　その途端、颯太がハッと目を見開き、口を閉じた。

　鳴海くんは三人の子に「こんにちは」と笑顔で挨拶をしたそうだ。颯太に食ってかかっていた男の子は、目を白黒させて小さく頭を下げた。そうして友達と他の遊具へと走って行った。

　父親の振りをするには、余りにも若すぎる、母はそう思ったそうだが、その時ばかりは笑ってしまったらしい。

「……なんでジンくん、あんな事言ったの？」

「うん？」

「だってさ。パパじゃないじゃん」

「……うん。でもさ、ムカつくだろ？」

「え…」

「颯太くんにパパがいるとかいないとか、あの子たちに関係ないし。ああやってしつこく絡んで来るなら、多少の嘘だって見逃されるよ」

　颯太は鳴海くんを見つめてキョトンとした後、フッと顔を崩して笑った。

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