シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「あははっ、ウソはダメだよ、ジンくん」

「……あ。やっぱり? ママに怒られちゃうな。この事はママには内緒、ね?」

「うん。"また"男どうしのナイショ、ナイショだねっ」

 二人で笑い合いながら潰された山をまた元の形に整えていた。母は鳴海くんを見て、ようやく声を掛けた。

「すみません、急に。信憑性のない嘘を」

「いえいえ。あれだけ堂々としていればあれぐらいの子供には通じるものよ?」

 鳴海くんは眉を下げて首元に手を当てた。それからスッと立ち上がり、砂場から少し離れると声を潜めて母に言った。

「今日の事、まだ沙耶さんには内緒にしてて貰えますか?」

「……え」

「パパの話で悩んでるの……ママには知られたくないそうなんです。保育園での事も心配させたくないって、この間お願いされて……」

 そう言って鳴海くんは、悲しそうな顔で颯太を見つめていた。

 **

「そうだったんだ。全然、知らなかった」

 飲み干した紅茶のカップを見つめ、私は感慨深く息をついた。

「でしょうね? 何せ、男どうしのナイショ話らしいから」

「そうだね」

 そんな経緯があったから、二人は今日、あんなにも仲が良かったんだ。

 母の話から、確かに颯太は鳴海くんと二人で話し合う機会があったと思われる。その時に、パパの話や保育園でのお友達の話をした。

 ーーいつだろう?

 そう考えて、割と直ぐに思い当たる節が見つかった。
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