シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ーー鳴海くん。颯太の事も、私の事も、ちゃんと考えてくれてるんだ。

 その思いやりが嬉しくて、不意に目の端がじわりと滲む気配がした。私は慌てて洟をすすり、無理やり口角を上げる。

 しんみりした気持ちを誤魔化そうと、ついおどけて言ってみた。

「……でも。最近はわがまま言われる事が多くて、結構困らされてるんだけどね?」

「ははっ、それとこれとは話が別なんだろうね?」

「ふふっ」

 鳴海くんと出会えて良かったと心の底から思った。鳴海くんを好きになって、彼と相思相愛になれた事が改めて嬉しい。

「そういえば、颯太くんの誕生日って六月だっけ?」

 改札口を抜けた時、鳴海くんが思い出したように言った。

「うん。六月七日で五歳になるよ? 今年は確か日曜日だったかな」

「そうなんだ…」

 パスケースに入れた定期券を鞄に仕舞いながら、「あのさ」と改まった口調で言われた。

「俺から颯太くんに……誕生日プレゼントって渡しても大丈夫かな?」

「……え? あ、うん。喜ぶと思うから、そうしてくれたら私も嬉しい」

「そっか」

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