シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 恐らく、そのエージくんは鳴海くんの髪色と瞳を見て、そう勘違いをしたんだと思うけど……。

 当の本人は「そうかぁ」と言って笑いながら、砂をバケツに入れて集めていた。

「……よっ、と」

 水を含ませた砂でいっぱいになったバケツをひっくり返し、鳴海くんは暢気に笑う。

「ほら。出来たよ、マリちゃん。プリン」

「うわぁ〜っ、そうたくんのパパじょうずーっ!」

 子供たちは蘭々と目を輝かせている。

「ねぇ、ジンくん! 今度は泥団子作ろうよ!」

 颯太が嬉々として提案し、マリちゃんとシュンくんもそれに賛同する。ふと、マリちゃんが瞳を瞬き、颯太に声を掛けた。

「ねぇ、そーたくん。前にもパパのこと、ジンくんって呼んでたよね?」

「うん、そーだよ? だってジンくんだもん」

 颯太は何故の意味を理解しておらず、飄々と答えた。するとマリちゃんは「ふぅん」と呟き、「じゃあ」と言って目を輝かせた。

「マリちゃんも、ジンくんって呼んでいい?」

 パチンと手を叩いて鳴海くんに直接尋ねていた。「あっ、ぼくもぼくもー」と言ってシュンくんが焦っている。

「うん、良いよ?」

 言いながら鳴海くんがニコッと笑い、白い八重歯が覗く。マリちゃんは鳴海くんの微笑を見て喜んだ。

「えへへっ。ジンくん、カッコいいからマリちゃんスキーっ」

「ぼくもぼくもっ、ジンくんみたいなパパがいいー」

「……あはは、ありがとう」
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