シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「嫌だったら無理しなくていいんだよ? 前に颯ちゃん、鳴海くんに怒ってたから」

 颯太はパジャマの裾を両手でいじり、俯いた。

「今は……イヤじゃないよ」

「……颯、」

「ホントはぼく、ジンくん嫌いじゃなかったんだ。でも、ママがぼくだけを見てくれなくなって……ジンくんのことジャマだと思ったの。ママがぼくの知らないママになるのがイヤで……ジンくんに怒ってただけなの」

「……そっか」

 天使の輪が広がる颯太の黒髪に、そっと手を触れて撫でた。

「ちゃんとお話ししてくれてありがとう。ママ、颯ちゃんの気持ち、全然分かってあげられなかったよね。ごめんね?」

「ううん」

 そのまま頭を撫でて、颯太を抱きしめた。

「ママ、ジンくんと仲良くしていいよ」

「え?」

「だって、ママはジンくんのこと大好きなんでしょ?」

 抱きしめた手を緩め、颯太を正面から見つめ直す。颯太の目は真剣そのものだった。幼いながらに、私の感情をちゃんと理解していた。

 不意に目の端が滲み、涙が零れ落ちた。

「……うん」

 泣きながら頷くと、今度は颯太が「ヨシヨシ」と言って私の頭を撫でてくれた。

 それから私は颯太を連れてベッドに入った。手にした絵本を開こうとして、ピタリと指先が止まる。
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