シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「ママのウソはぼくを守るためのウソだって。……ぼくのココロがきずつかないように、守ってくれてるって」

「……そう」

 ーー鳴海くん。

 彼を想い、心がじわりと熱を帯びた。

「ママ、ジンくんとケッコンしてよ? そうしたらジンくんはぼくのパパになるんでしょう?」

「……うん。そうだね」

 結婚したくても、直ぐには出来ない事情をどう話そうか言いあぐねてしまう。記憶を辿り、鳴海くんの言った"順序"という言葉を思い出した。

「ママもジンくんも結婚しようってお約束はしてるんだよ? でも、ジンくんはママより五歳若くて、まだ仕事をしていないから直ぐには出来ないの」

「……そうなの?」

「うん。それに、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんにも認めて貰わないといけないから」

「……うーん……うん?」

 やはり難しい話だからか、颯太は首を捻っていた。

「一つ一つ順番を守らないとね、結婚って出来ないんだよ?」

「そうなんだ」

 ふぅん、と呟いた後、颯太は笑顔で言った。

「でも、ぼく。ジンくんにはパパになってもらうね?」

 その言葉には笑ってしまい、私は曖昧に頷くしか無かった。

 *

「そっか……。遂に言ったんだね」

「うん」

 公園のベンチに座りながら、私は昨夜、颯太と話した事を鳴海くんに伝えた。
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