シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？
　すぐ側の砂場では、颯太とマリちゃんとシュンくんの三人が遊んでいる。保育園でもあの三人で遊ぶ事が多く、二人のお母さん方とも以前より沢山話すようになった。

　颯太から聞くところによると、パパがいない事でエージくんにからかわれていた問題も、今では何も言われる事なく穏やかに過ごせているらしい。

「……ははっ、会って早々にあんな事言われるからビックリしたよ」

　フッと砂場から隣りの彼に目を向けた。

　鳴海くんは颯太の言葉を思い出し、笑っていた。

　今朝家の前で待ち合わせをした時に、颯太は鳴海くんを見て開口一番に言っていた。「ママとケッコンしてパパになってよ！」と。

　率直すぎる言葉に私はギョッとしたけれど、鳴海くんは赤くなっていた。

「……あとね。もう手も繋いでいいんだって」

「え。……本当に？」

「うん」

「……そっか」

　そう言いながらも、鳴海くんは膝の上に手を載せたままだ。私はおもむろに彼の手を取り、自分のそれと重ね合わせた。

　久しぶりに感じる彼の体温が、心を温めてくれる。

　恋人繋ぎで「幸せだね」と言って見上げると、鳴海くんは戸惑いと動揺が入り混じったような、何とも言えない表情で赤くなっていた。

「そう言えば、鳴海くん？」

「な、なに？」

「お母さんから聞いたんだけど。時々この公園に寄って帰ってたんだって？」
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