シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鳴海くんは、アッと目を見張り、固く口を結んだ。顔には図星と書いてあるが、その反応に首を傾げてしまう。

「あれ? どうしたの? 私、何か変な事言った?」

 手を繋いだままで、彼が俯き、耳まで赤くなるので不思議に思った。

 ーー何だろう? 何か恥ずかしい事でも言ったかな?

 鳴海くんの赤面が移って、私まで頬が熱くなる。

「……ごめん、ナイショ」

 そう言ったきり、彼は口を噤んでいた。

「あーっ! ラブラブだーっ」

 不意に砂場にいたシュンくんが叫んだ。三人の子供たちが、私たちの様子を見て駆け寄って来る。

「ホントだ! ジンくんとママ、ラブラブー」

「ジンくん、マリちゃんともお手て繋いでよぉー?」

「はいはい、分かったよ」

 それからは子供たちに混ざり、一緒に遊ぶ事になったのは言うまでもない。

 *

 五月も半ばを過ぎた平日。

 私はいつものように、颯太を園に送り届け、最寄駅で鳴海くんを待っていた。駐輪場から颯爽と歩いて来る人たちの中に、プラチナブロンドの彼を探すのだが一向に現れない。

 ーーどうしたんだろう。寝坊かな?

 鞄からスマホを取り出し、ロックを外すためにパスコードを打ち込んだ。

「沙耶さん」

 急にポンと肩に手を置かれて振り返る。

「おはよう? 俺が来たの全然気付かなかったでしょ?」

「……っ、あ、」

 思わず彼を見て、ポッカリと口を開けていた。あまりの衝撃に言葉を失くす。
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