シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
24.私の罪悪感と鳴海くんの怒り
鳴海くんが髪を染めたその日は、仕事中に何度も彼の話を耳にした。みんなあの眩しい白金から真っ黒にした意外性に飛びつき、なかでも彼を好きな女の子たちは、黄色い声を上げてはしゃいでいた。
「そう言えばさぁ、仁くんの髪色見た? ビックリしたよねー?」
「ああ、青系の黒髪でしょー? 就活で染めたって聞いたけど、似合ってるよねー?」
「うんうん、仁くんてさ。元々肌が白いから際立っちゃって。カッコいいよねぇ」
「さっきもさぁ、仁くんがパターン引いてるの見てたんだけど。いつも赤縁の眼鏡掛けてるじゃん? アレがさぁ〜、髪色変わっただけなのにめちゃくちゃ似合ってて〜」
「えーっ、見たかったー!」
「あははっ、じゃあ今度写メして送るよー」
「えぇっ、それ盗撮じゃん!」
女の子三人のレジを済ませて、別の子のレジに取り掛かると、「そう言えばさぁ」とまた声が聞こえた。
「あの人ってまだ仁くんと付き合ってるのかな?」
「えー、でも結婚してるんでしょう?」
「じゃあアレじゃないの、不倫……」
「ヤダ、さいあく〜〜」
彼女たちを尻目に肩が落ちる。誤解もあそこまで進むと最早呆れて物も言えない。
ーー根も葉もない噂で、こういった陰口をまた聞く事になるとは……。