シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「あ。偉いって言うのは違うか。でも、身なりをちゃんとするのは、大事だよ。社会に適合するって意味で」

 言いながら、何言ってるんだろうと思い、頬が若干熱くなる。私は視線を足元に落とした。

 一駅だから、もうすぐ着くはずだ。

「颯太くんは、元気?」

「え…….」

 急な問いに言葉が詰まる。

「あ、うん。元気だよ、凄く。あの子四歳なんだけど鳴海くんの事、まだちゃんと覚えてるみたいで。時々、“たまてばこのおにーちゃん”の話するよ?」

「えっ! そうなんだ? 嬉し〜なぁ」

「うふふっ、鳴海くんの髪がよっぽど印象的だったみたい」

「ああ。プラチナブロンド? 俺も気に入ってるー」

 ーーへぇ。プラチナブロンドって言うんだ。

 そこで電車が降りる駅で停まり、私は鳴海くんとホームに降りた。

「これから颯太くん、迎えに行くの?」

「え?」

 何の事だろう、と首を傾げると慌てて彼が言葉をついだ。

「あ、いや。保育園に預けてるのかなって、思って」

「ああ」

 クスッと笑い、改札を抜ける。

「この仕事を初めてから、颯太のお迎えはお母さんに任せてるの。だからあとは家に帰るだけ」

「そっか」

 いつものように自転車置き場へ向かうと、何故か鳴海くんも付いて来る。

「鳴海くんも、自転車なんだ?」

「うん。チャリだと便利だし」

「だよね」

 どうしようかな。家の方向はほとんど一緒だし、じゃあ明日って言って自転車に乗るのは何となく失礼な気がする。
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