シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「ごめん。今日は十二時ぐらいにもう食べたの」

「……そうなんだ」

 しゅんと肩を落とすハルくんだが、彼がこの程度でへこたれないのを私は知っている。

「じゃあ明日こそ一緒に食べよ? 外でお弁当食べるのに良い場所見つけたんだよねっ」

 そう言ってハルくんに両手を握られる。クシャッと顔を崩して笑う彼を見て、私は何も言えずに肩をすくめた。

 友達として仲良く話す分には構わないが、ハルくんは異性の上に、彼の好意を既に告白されているので困ってしまう。

 それに、逆の立場だったら絶対に嫌だ。鳴海くんが友達だからといって、特定の女の子とご飯を食べに行っていると知ったら、私は嫉妬と不信感でいっぱいになるだろう。

「……ごめんね、ハルくん。私、」

 改まってちゃんと断ろうとした矢先、対面したハルくんを押し除けて、鳴海くんが現れた。

「執拗なナンパはお断りだって前にも言ったはずだけど?」

「……っ、鳴海くん!」

 幾らか不機嫌そうな彼を見上げると、鳴海くんが私の背後に周り、後ろからギュッと抱きしめてきた。

 ーーえっ!?

 瞬間、頬がカッと熱くなる。彼特有のあの爽やかな香水が濃厚になった。

「てめ、学生の分際でしゃしゃり出てんじゃねーよ?」

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