シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 彼女が小さめのシャツ釦を八個出してくれるので、それを小袋に入れてレジを済ませる。

「沙耶ちゃんの彼氏って、もしかして鳴海センパイ?」

 コソッと尋ねられ、私は照れながらも頷いた。

「そっかぁ。カッコいいもんね」

 彼女はえへへっと笑いながら、去り際に手を振り、階段を上がって行く。鳴海くんは、と見てみれば、売り場に入り祥子さんに話しかけていた。

「すみません、祥子さん。俺が邪魔したばっかりに」

 そう言って、下段の薄手トワールを一枚手にする。

「ううん。て言うか、仁くん。見た目の印象、ガラリと変わったね〜? 黒も似合うじゃん?」

「……あ、どうも」

 鳴海くんは照れ臭そうに、頭を触る。

「大体の事情は沙耶ちゃんに聞いてるから知ってるんだけど。やっと沙耶ちゃんに触れるようになったんだね?」

 鳴海くんはキョトンとした後、破顔して「はい」と頷いていた。

「そっかそっか。今までよく耐えたねぇ、偉い偉い」

「はははっ、何すか、それ」

 鳴海くんは嬉しそうに笑い、レジへとトワールを運んだ。「はい」と千円札を渡されて、お釣りの百円を返した。

「沙耶さん、今日バイト無いから一緒に帰ろ?」

「えっ、良いの?」
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