シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「ましてや沙耶ちゃん、子供いるでしょ? 子供いるんだったら、既に社会人として働いてる奴を選ぶべきだよっ!」

 私は俯いた顔を上げ、ハルくんの顔を正面から捉えた。頭の中で何かがプツンと音を立てた気がした。

「学生だからなに?」

「……え」

「社会人として働いてる奴をって、それは好きでもないハルくんを選べって事?」

「……っ、」

「鳴海くんには夢が有って、私は五つ年上で、子供もいて働いてる。子供のために仕事をしなければいけない現状だけど、まだ社会人じゃない彼と付き合ってる事は、別に何の不安材料にもならないんだよ?」

「……沙耶ちゃ」

「鳴海くんの良さは……彼と一緒にいる時間でしか分からない。だから言葉で伝えても、きっとハルくんには一生理解できないし、別に分かって欲しくない!」

 息をつくと、その場は静まり返っていた。ハルくんは若干赤くなった目を見開き、眉を寄せていた。

「……は。何だよ、それ」

 それまで掴まれていた右手がパッと放され、ハルくんはそっぽを向いた。

「……もう、いーよ」
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