シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 自転車を走らせると後ろで鳴海くんの呼び声が聞こえた。行き先は通い慣れた公園だ。あそこは街灯も明るいし、ベンチに座っていたら気持ちも落ち着くと思った。

 結局、鳴海くんもすぐさま追い付いて、二人でベンチに座る羽目になった。

 一人になりたかったけれど、時間の都合上、そうもいかないらしい。

「……とにかく。今沙耶さんの頭の中はあのハルの事でいっぱいな訳だ?」

「ちっ、違うよ、そういうのじゃなくて。ただ胸の内がぐちゃぐちゃで気持ち悪くて……」

「うん?」

「だって。良い人だと思ってたの、津島さんの従兄弟の子だから……仲良くしておかないとって思ってたの。
 ハルくんの気持ちには応えられないけど、鳴海くんと付き合ってる事は、ナンパされた時から知られてたから。すぐに諦めてくれるってそう思い込んでたのっ」

「それが……。実はそうじゃなくて、アイツに迫られて、冷たく突き放す事になった。結果、自己嫌悪と罪悪感を感じてるってところ?」 

「……。うん」

 鳴海くんは目を瞑り、深々と嘆息した。
 
「やっぱり。ハルの事で頭がいっぱいなんじゃん?」

「ちが…っ」

 隣りの彼を見上げて、弁解しようとするが。唇は鳴海くんに塞がれた。

「嫌ならアイツの事なんか考えなければいい」

「な、鳴海く、」
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