シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 顎に手を添えられて、またキスで口を塞がれる。

 ーーねぇ、怒ったの……?

 久しぶりのキスなのに、以前のような愛情たっぷりのそれでは無くて、少し荒々しくて強引な口付けだった。

「ハルとか津島さんとか、もういい加減その口から聞きたくないよ。頼むから俺の事だけ考えててよ、俺の事だけ見てて?」

「……み、見てる」

 真剣なグレーの瞳に囚われて、不意に目頭が熱くなった。

「私はいつだって、鳴海くんだけを見てるよ?」

 彼が切なそうに眉を寄せ、私の頬に流れた涙を親指のハラできゅっと拭ってくれる。

「沙耶さん、俺がすっごいヤキモチ妬きなの、気付いてないの?」

「……え」

「アイツに対する罪悪感とかそんなの持つなよ、沙耶さんが俺以外の男の事考えてるなんて……気がおかしくなりそうだ」

 そう言って眉を寄せると、鳴海くんはまた唇を重ねた。今度は熱っぽさのある口付けで、チュ、とリップ音を立てた。

「沙耶さん、好きだよ」

 唇が離れた合間に囁かれ、私の心は愛情で満たされる。

「もう何回言ったか分かんないぐらい、俺、沙耶さんに夢中だよ」

「私も……」

 さっきまでの入り乱れた感情が、鳴海くんへの愛情で上塗りされていく。

 息を乱しながら、口の中で彼の舌と絡み合う。その感触が心地よくて、彼の匂いが恋しくて、私も感情のままに鳴海くんを求めた。

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