シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 しかしながら、数ヶ月ぶりのキスは突如としてスマホの着信音で遮られる。私の携帯が鳴っていると分かって、母かもしれないと思った。遅くなる事を連絡していなかったと今さらになって思い出す。

「ごめん……」

 ポケットに入れた携帯を取り出し、液晶画面を確認する。

「電話、誰から? お母さん?」

 ーーあれ?

「……。分かんない」

 画面に浮かび上がる十一桁の羅列を見て、私は首を捻った。

「知らない番号なの」

「……じゃあ出なくていいよ」

「でも。知ってる人かもしれないし、仕事の電話かも」

 会話している合間も、着信音は鳴り続け、その音に急かされている気がした。「出るね?」と断って回線を繋いだ。

「……も、もしもし?」

『あ。水嶋ちゃん? 急に電話してごめんね、津島だけど』

 ーーえ。

「津島さん?」

 言ってすぐにハッと口を押さえた。隣りで様子を窺っていた鳴海くんを見ると、案の定冷たい目をしていた。

『今大丈夫?』と津島さんから尋ねられるのに、「えっと」と返事に詰まった。

 パッと携帯を取り上げられて、あ、という間もなく彼が電話口に出る。

「悪いけど、今取り込み中だから」と言って、鳴海くんは一方的に電話を切った。

「何で津島が番号知ってんの?」
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