シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 うふふっ、と笑い、祥子さんは椅子から立ち上がった。

「先にお弁当箱洗って来るね?」

「あ、はい」

 まだ三分の一しか食べていないお弁当を口にしながら、考えていた。

 鳴海くんは、ハルくんに対して罪悪感を持つなって言ってたけど。私としては、昨日ハルくんにとったあの態度をうやむやには出来ない。悪いと思ったらちゃんと謝るのがスジだ。

 それからハルくんにはきっぱりと線を引いておこう。じゃないと今後も仕事で顔を合わせるのに、気まずくなる。

「……よし」

 ご馳走さまでしたと手を合わせ、お茶を口にした。

 十二時半を回り、三度目の開店を迎える。いつもハルくんに声を掛けられる時間に、事務局を気にして見ていると、祥子さんも同じ事を思っていたのかポソっと呟いた。

「それにしても。今日はハル坊来ないね?」

「あ、はい」

「何か悪い物でも食べたのかな?」

 祥子さんの物言いがおかしくて、「さぁ、どうでしょう?」と笑って首を傾げる。

「……あ、来た」

「え?」

 振り返ると事務局からハルくんが出て来て、私と祥子さんを見てハッとし、会釈をした。私たちも同様に頭を下げる。

「あー……あれあれ? 行っちゃうよ?」

 ハルくんは煙草を手に、真っ直ぐ給湯室へ歩いて行った。
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