シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？
「沙耶ちゃん、ハル坊と何かあった？」

　祥子さんの問いに私は眉を下げ、曖昧に頷いた。

「昨日喧嘩って言うか……ちょっと言い合いになっちゃって」

「だよね？　さっきのハル坊、そんな風だったもん」

「あの。今ちょっと……謝りに行って来ても大丈夫ですか？」

　ハルくんが向かった給湯室を指差すと、祥子さんは笑顔で「良いよ」と言ってくれた。

「困った事があったら、叫んでね？　駆け付けるから」

　そんなジョークも添えて。

　給湯室の扉を開けると、顔を上げたハルくんと思い切り目が合った。ハルくんは気まずそうに眉を寄せ、そっぽを向いた。

「……あの。昨日はごめんなさい」

「………え」

　ハルくんは煙草を咥えたまま、放心していた。

「私、ハルくんの事、全否定するような言い方して……あの後凄く後悔して、反省したの」

「……沙耶ちゃん」

「酷い事、沢山言って傷付けて……本当にごめんなさい」

　ううん、と首を振ったハルくんの目は微かに潤んでいた。スクッと立ち上がり、ハルくんは私に近付いた。

「俺、沙耶ちゃんに嫌われたと思って、本気で落ち込んだ。でも……そうじゃないんだって分かって、ホッとした。ありがとう」

「ううん」
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