シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 リビングにミニカーや電車を並べ、三人の子供たちが仲良く遊んでいる。その傍らにはソファーに座った父がいて、はしゃぐ颯太を穏やかに見守っていた。

 キッチンでお昼ご飯を作る母を手伝い、ふと壁時計に目を向けた。針は約束の十一時半に差し掛かろうとしていた。

"ピンポーン……"と部屋にインターホンの音が鳴り響いた。

「私、出るね?」

「ええ。お願いね」

 母の隣りを離れ、エプロン姿で玄関へ駆けて行く。扉を開けると、黒髪にいつものカラーコンタクトを入れた鳴海くんが「おはよう」と言ってはにかんでいた。ブラウンのボディーバッグとは別に、大きな紙袋を提げている。

「服装、こんな感じでおかしくないかな?」

 散々迷ったのか、鳴海くんは困ったように首を傾げて聞いた。

 鳴海くんの服装はきれいめカジュアルだ。グレーのテーラードジャケットに白のカットソーと黒のパンツを合わせ、爽やかな印象を受けた。

「大丈夫っ、カッコいいよ?」

 さぁ入って、と彼を促すとパタパタと複数の足音が響き、颯太とマリちゃんとシュンくんが嬉しそうに出迎えてくれた。

「やったぁ! ジンくん来たぁ〜っ!」

 はしゃぐ子供たちを見て笑い、鳴海くんが腰を落とした。

「颯太くん、お誕生日おめでとう」

 ***

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