シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
26.五歳のお誕生日会
颯太とマリちゃんに片方ずつ手を引かれ、鳴海くんがリビングに連れて行かれる。その様子を見て笑い、私は彼から受け取った紙袋を手に、後ろから付いて行く。
母が洗い物の手を休め、鳴海くんを笑顔で出迎えた。
「まぁまぁ、鳴海さん。よくお越し下さいました」
「……あの、お久しぶりです」
鳴海くんは恥ずかしそうに首裏を触り、会釈する。
「良かったわねぇ、颯太。ジンくんが来てくれて」
「うん!」
颯太は鳴海くんの手をギュッと握り、天真爛漫な笑みを咲かせた。
私は部屋の片隅に紙袋を置き、鳴海くんの側に寄る。紙袋の横にはそれぞれのプレゼントが固めて置いてある。
「お父さん、いつまでも座ってないで来て下さいよ」
母が父を呼んだ時、鳴海くんの頬が幾らか強張った。忙しなく瞬きし、緊張しているのが見て取れる。
「ああ」と返事をして父が立ち上がり、鳴海くんをジッと見た。子供たちは状況を察してか、さっきまで遊んでいた場所へ寄り集まる。
「どうも、沙耶の父です」
「……は、初めまして、鳴海 仁です。あのっ、今日はお招き頂いて、ありがとうございます」
緊張から若干頬を赤くしながら、鳴海くんが父に頭を下げた。彼の様子を観察するように見て、父がフッと頬を緩めた。
「ははっ、君が噂の"ジンくん"か。今日は颯太のためにありがとう」
「あ、いえ」
「そんなに緊張しなくても良い、まぁ、楽にしなさい」