シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「おじいちゃん、ぼくが一番のりだよーっ! ぼく二番じゃないもん!」

 ーーえぇ??

 何でそんな事にこだわるのと言いたくなるが、颯太は今日の特別な日に我儘を聞いて欲しそうだった。

「颯太、祖父ちゃんが出したのは確かに三だった。ズルはいけないぞ?」

「むぅっ、ズルじゃないもんっ!」

 ーーどうしようかな。

 確かに父が出したのは、三だった。でもそれを言うと多分颯太は泣くだろう。

「そうたくん、二ばんでもいーじゃない?」

 マリちゃんが首を傾げ、どうしてそんなことで怒るの、と尋ねた。

「ぼくの勝ちなのに、ズルはおじいちゃんだ。おじいちゃんなんか、もうキライだっ!」

「ッ、ああっ、颯ちゃん……!」

 颯太はみんなのコマをぐちゃぐちゃにして、部屋の隅まで走って行った。堅く三角座りをして俯き、拗ねている。一連の流れを見ていた母が困って父に言った。

「お父さん。今日は颯太のお誕生日なんだから、颯太の勝ちで良いんじゃない?」

 颯太が怒って拗ねた事で、父は不機嫌にへそを曲げていた。

「駄目だ、大体お前がそうやって甘やかすのがいけない。ゲームのルールは公正に、ズルなしだ」

「全く、もう……。変な所で頑固なんだから」

 母が呆れて肩をすくめる。

「そうたくん怒るからつまんない……」

 シュンくんがバラバラになったコマを拾い、むくれていた。
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