シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「えーと、ズルじゃない」

「本当に?」

「うん、だってぼくちゃんと当てたもん!」

「そうだね。でも、お兄ちゃんは最初、"コマは一つ"ありますって言っておいて、実は二つを用意しておいたんだよ?」

「……うん」

「颯太くんにわざと嘘をついたのに、コレは本当にズルじゃない?」

 颯太は黙って首を傾げていた。

 合間で「ウソはいけないことだってママが言ってた」とマリちゃんが呟く。

「大人はね。颯太くんたちが可愛くて泣いて欲しくないから、時々こうやってズルを仕掛けるんだ」

「……え?」

「でも、お祖父ちゃんは違う。颯太くんが大好きだから、物事の正しさをちゃんと知って欲しくて、ズルをしないんだよ?」

 颯太はさっきまで遊んでいたすごろくの場所を見て、眉を下げた。父を見て、無言で頷いていた。

「じゃあ、お兄ちゃんがやったコマの嘘はズル? ズルじゃない?」

 颯太は暫し黙り込み、「…ズルだ」と呟いた。

「そうだね」

 偉い偉い、と言って鳴海くんが颯太の頭を撫でた。

「颯太くん、お祖父ちゃんが大好きだから、わがままを聞いてほしいんでしょ?」

「……」

「ママには聞いて貰えないって分かってるから、いつもは言わないけど……お祖父ちゃんには聞いて欲しかったんだよね?」

「……うん」
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