シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 何かを改まって言う時、鳴海くんは敬語を使うような気がする。私の事を、一応は年上のお姉さんとして接してくれているんだろうな。

「うん、別に迷惑じゃないから良いけど。私とやり取りしても、多分つまんないよ?」

「そ、そんな事ないよ! 颯太くんの話とか聞いてて……、何か、楽しいし」

「そっか」

 ーーやっぱり変な子だ。

 自転車を押しながらの帰路なので、家に着いてからIDを交換する事にした。

「ありがとうっ」

 鳴海くんは嬉しそうに破顔し、直ぐそこのアパートまで自転車に乗って帰って行った。

 ーー変な子だけど、面白い。何て言うか、癒し系?

 私は門の中に自転車を入れ、颯太にただいまを言うため、玄関扉を開けた。

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