シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「沙耶は大切な一人娘だ。大学を中退して、毎日働きながら子育てに奮闘してる。そんな沙耶を傷付ける奴なら切って捨てる所だけど……。生憎と言って良いのか、娘も孫も君を信頼しきってる。だからこれからも、沙耶と颯太の事を頼むよ?」

「はい……!」

 お邪魔しました、と再度深々と頭を下げ、鳴海くんが帰って行った。

「……若いのになかなか良い青年じゃないか」

 ーーえ。

「……お父さん」

 リビングへ戻る時、そう言って父に肩をポンとされた。

「彼もこれからが正念場だ。お前がちゃんと支えてやりなさい」

 そう言って父が久しぶりに柔らかな笑みを見せた。

「……うんっ」

 鳴海くんの良さを認めて貰えたのが嬉しくて、満面の笑みで頷いた。

 兼ねてから願っていた彼との将来が、徐々に形取られていくのを実感し、私は幸せを噛み締めていた。

 ***
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