シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 *

 それからの日々は、鳴海くんとの交際もすこぶる順調で、彼の就活の息抜きとして遊びに行く日が増えた。颯太を入れた三人で、普通の家族みたいに過ごせるのがたまらなく幸せだ。
 八月の夜にはお祭りや花火大会にも出掛ける事が出来た。

 鳴海くんの夏休みが終わり、九月半ば、購買でいつものように模造紙を巻いていると、ひょこっと鳴海くんが顔を出した。

「お弁当ありがとう」と言って空になったお弁当箱を持って来てくれる。今は丁度お昼休みの開店時間だ。

 私は売れた模造紙の二枚束と三枚束を箱いっぱいに埋めるため、延々と巻き続けていた。その地味な作業を、そばにしゃがんだ鳴海くんがジィっと見上げてくる。

 ーーなんか。緊張するな……。

「……つ、ッ!」

 ああ、またやっちゃった。

 巻いた模造紙に輪ゴムをはめる際、時々紙で指を切ってしまう。嘆息して人差し指に滲む血を見てから、ティッシュで押さえていると、「大丈夫?」と言って彼に右手を取られた。

「大丈夫だよ。絆創膏あるから」

 普段から休憩室に常備している絆創膏を出すと、「貸して?」と言って鳴海くんが丁寧に貼ってくれる。

「なんか普通に夫婦みたいだよね?」

 レジ前に置いた椅子に座りながら、祥子さんが振り返って言った。
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