シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

　寂しい気持ちをひた隠しに、私は笑みを浮かべた。

「……うん。ありがとう。助かるよ」

　祥子さんはお腹に手を当てて、穏やかに微笑んでいた。

　十月末に、祥子さんの後任者が決まり、引き継ぎのため、祥子さんが退職するまでは三人体制で開ける事になった。

「小石川(こいしがわ) 香帆(かほ)です。よろしくお願いします」

　そう言ってペコリとお辞儀をする彼女は、まだ二十二歳の可愛い女の子だ。肩より下に伸ばした茶色の髪をポニーテールにし、あどけない笑みを浮かべている。

　よろしく、と挨拶をし、私と祥子さんも自己紹介をした。祥子さんは私の時のように、苗字呼びだと堅いからと言って、それぞれが名前で呼び合う事になった。

「おっはよ〜っ、沙耶ちゃん！　仁に聞いたんだけど、今日から新しいおねーさん入って来るんだって？」

　そう言って駆け寄るのは、澤野くんだ。

「もう来てるよ？　祥子さんの後がまの子」

「あ。小石川 香帆です」

　香帆ちゃんは初日だからか、学生に対しても緊張していた。まだ若いからだろう。

「へぇ〜、香帆ちゃんか。よろしくね〜、え。てか、俺とタメ？」

　香帆ちゃんは首を傾げて笑い、二十二ですと言っていた。

「女性に年齢を聞くとは……やるな、チャック」