シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「俺と沙耶さんで、プチ結婚式、挙げよっか?」

 ーーえ。

「みんなで企画したんだ。ヤマセンにも協力して貰って、この教室も開放するつもりだから」

 ーーえ。

 いまいち状況を飲み込めず、私は先生や学生たちを見回した。みんな一様に笑って頷いているが、本当に良いの、と真剣に問いたくなる。

「今週末の日曜、ちゃんと空けてるよね?」

 それすなわち、十三日の日曜日だ。

「颯太くんも連れて来て、ここで結婚式を挙げよう」

「……颯太も…」

 私は呟いてから、もう一度白いドレスに目を向けた。

 純白のウェディングドレスを着て、バージンロードを歩く自分。颯太の妊娠が分かった時、密かに妄想した夢だ。

 でも、それは叶わなかった。あの時の、元カレとは、叶わなかった。

 私は鳴海くんを見上げて、「うん」と深く頷いた。揺らいだ視界に、鳴海くんの笑顔が輝いて見えた。

 ***
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