シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
28.模擬結婚式
時折目を瞑り、なすがままにされる。
「良いじゃん、そのアイメイク!」
「でっしょ〜? これぞ、ベージュとゴールドの合わせ技よ」
「チークは何? オレンジ系?」
「うんっ、の方が可愛いよね〜っ」
スタイリストコースの女の子三人がかりで、すっぴんから華やかなメイクを施される。
ベースメイクを念入りにして、アイシャドウもアイラインもいつもより濃いめに入れられる。彼女たちに聞くと、ドレスに見劣りしないためのブライダルメイクだと言う。
「じゃあ、次は髪ね〜。お姉さん長いから色々遊べそうっ」
三人はウキウキしながらアイロンで髪を巻き、慣れた手付きで編み込みをしてから所々にUピンを刺していく。
今日は十二月十三日の、プチ結婚式の日だ。実際の式場に行く感じで来て欲しいと学生たちに頼まれて、今朝は基礎化粧だけで済ませた。家の前で鳴海くんと待ち合わせをしていたので、彼にすっぴんを晒すのが恥ずかしくてマスクを付けた。
結婚式となると、颯太の服装はどうするべきかと迷った。鳴海くんに相談すると、「白と黒、もしくは紺色でまとめれば良いから、保育園に着てる制服で大丈夫だよ?」と言われた。
日曜日なのに保育園の制服を着せているせいか、颯太は首を捻っていた。
「颯ちゃん、今日はママとジンくんの結婚式だからね。お行儀よく頑張ろうね?」