シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

　颯太は「うん」と呟いた後、ハッとし、「じゃあジンくんがパパになるの？」と期待に目を輝かせた。

　勿論、『模擬』なので入籍はしない。返答に困り、私は曖昧に首を傾げる。その時母が颯太に声を掛けた。

「そうよー？　今日からジンくんが颯太のパパだからね。ちゃんと賢くするんだよ？」

「うわぁーいっ！」

　ぴょこぴょこ飛び跳ねる颯太を見て、「お母さん」と私は眉を下げた。

「心配ないよ。手続き上はそうじゃなくても、いずれはそうなるんだから」

「……うん」

　母は優しい目で私を見た後、「あ」と思い出したように口を開ける。

「あとね、結婚式が終わったら颯太を連れて真っ直ぐ帰っておいで？　あとの事はお母さんに任せたら良いから」

「え…？」

　何の事かさっぱりわからない。

「颯太の面倒はお父さんとお母さんでちゃんとみるから、沙耶は鳴海さんと一緒にいるのよ？」

　ーーえ。

　母は「うふふ」とどこか意味深に笑い、私の肩をポンと撫でた。

　学校の別館にある教室の一つを、新婦控え室とし、ヘアメイクにドレスの着付けまでを三人がかりで手掛けて貰った。

「すごい、ピッタリだねー？」

「うんうん、上出来！　お姉さん凄い綺麗〜っ！」

　そばに置いた姿見でその出で立ちを見せて貰い、私は目を見張った。

　ーーこれが……、私……？