シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鏡の中に煌びやかなドレスを纏った、自分では無い私がいた。花嫁らしく、可愛くセットされたアップヘアに、華やかなメイクが大人っぽくて、暫しその姿に魅了される。

 肩出しのウェディングドレスも、お姫様みたいで素敵だ。

 私は、ほう、と感嘆の息をついた。

 その時、コンコンとノック音がし、「ママ終わったー?」と颯太の声が扉越しに聞こえた。

「終わったよー」

 女の子の一人が扉を開け、颯太と、今回の事を企画してくれた山本先生を教室に招き入れた。

「うわぁ〜っ! ママ可愛い〜、お姫様みたーい」

 颯太は目を爛々と輝かせ、私に抱きついてきた。学生たちに着せて貰ったのか、白いサテンで出来たポンチョを身に付けている。

「おお〜、沙耶ちゃん凄く綺麗だねー? お前ら良い仕事したなぁー?」

「当たり前でしょ〜? 四月からはプロ目指して働くんだから」

 彼女たちは胸を張ってピースしている。

「ありがとう、颯ちゃん。颯ちゃんもカッコよくして貰ったね?」

 私はさっきまで座っていた椅子に腰を下ろして、颯太を抱きしめた。

「あの、山本先生」

「うん?」

「何から何までお世話になって、ありがとうございました」

 今回のプチ結婚式を積極的に企画、運営してくれた山本先生にお礼を述べた。

「いやいや。学生たちの勉強にもなるから、あえて利用させて貰ったよ?」

「え……?」
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