シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

　廊下を歩き、私と鳴海くんをスタイリングしてくれた女の子と男の子が拍手で出迎えてくれる。

　初めてウェディングドレスを披露された教室まで歩き、割れるような拍手が耳に飛び込んだ。

　ーーえ。

　私はその光景を見て面食らっていた。

　てっきり企画に携わった学生と山本先生、新郎役の鳴海くんしか居ないと思っていた。

　愛梨ちゃんや澤野くんを始めとした、顔馴染みの学生たちがズラリと並び、津島さん、ハルくん、香帆ちゃん、そして少しお腹の膨らんだ祥子さんまで居て、笑顔で声を掛けてくれる。

「沙耶っち、可愛い〜っ」

「すっごい綺麗だよー」

「水嶋ちゃん、おめでとう」

「あははっ、仁くんメロメロだね〜」

　白いヴェールに包まれた世界に見える、みんなの笑顔が眩しい。

　音楽と拍手とみんなからの祝福が嬉しくて、私はその場に立ち止まったままで唇を震わせた。

　ーー何これ……、何このサプライズ。

「うわぁ〜っ、スゴイねー、ママ！　人がいっぱいいるっ」

　颯太がテンションを上げて叫び、私を見上げた。

「あーっ、ママの泣き虫ーっ」

　泣く事を懸念して、マスカラをせずにつけまつげでお化粧して貰って正解だった。私は初っ端から涙を流して泣いていた。そんな私を見ても、みんなは「あはは」と優しく微笑んでいる。

「本当だね、泣いたら勿体ないね」