シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ーーほっ。良かったぁ。

 鳴海くんに向き合い、ヴェールを上げられる。クリアな世界で彼と見つめ合い、私たちはそっと触れる程度に唇を重ねた。

「おめでとーっ!!」

 みんなからの拍手と祝辞に包まれ、私は鳴海くんと、そして小さな颯太と幸せを噛み締めていた。

 それから学生の女の子が作ってくれたウェディングブーケを後ろ向きに投げた。弧を描いて飛んだ花のブーケは、一人二人の指先を跳ねて、見事、香帆ちゃんの手に落ちた。香帆ちゃんは嬉しそうに頬を緩ませて、ハルくんに話し掛けていた。

 *

「颯ちゃん、鳴海くん、楽しかったねっ?」

「うん」

 十二時半になり、三人で帰路を辿っていた。真ん中に颯太を挟み、三人で手を繋いで歩いていた。

「でもさ、みんなの反応が半端なかったよ」

「ああ、颯太くんの事?」

 うん、と頷き、颯太を見やる。颯太はキョトンとして、首をこてんと傾げていた。

 ーー「沙耶ちゃんに子供がいたなんて、かなり意外だった!」

 ーー「本当、その若さでママとか凄すぎるよーっ」

 学生たちは一様に驚き、五歳の颯太に「可愛い」と言って話し掛けていた。

「今までずっと内緒にしてたもんね?」
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