シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？
　そう言って鳴海くんは穏やかに微笑んだ。幸せな気持ちで家まで辿り着き、颯太が「ジンくん、またねっ」と言って家の中へと入って行った。私と同様にお腹が空いているのだろう。私はそっとお腹に手を当てた。

「それじゃあ」と名残惜しく鳴海くんに手を振った時、「待って」と言って彼に右手を掴まれた。

「沙耶さんさえ嫌じゃなければ、明日の朝まで俺と一緒に居て欲しい」

「……え」

　ーー明日の朝まで…？

　不意に今朝聞いた母の言葉を思い出した。

　ーー「颯太の面倒はお父さんとお母さんでちゃんとみるから、沙耶は鳴海さんと一緒にいるのよ？」

　アレはそういう意味……？

「ごめんね。今回のプチ結婚式をする上で、前もって沙耶さんのお父さんとお母さんに報告しておいたんだ。そしたらお母さんが……」

　鳴海くん曰く、「結婚式当日は沙耶と二人で過ごしなさい」そう言われたらしい。

「夫婦になるんだから、そういう時間も必要でしょう？」と。

「……でも。良いのかな？」

　自然と颯太の事を思い、不安になった。夜を離れて過ごすなんて、今までに無かった事だ。毎晩私のベッドで二人で眠っていたので、ちゃんと寝てくれるかどうか、心配になった。

「沙耶」

　その時、母が家の中から出て来て、鳴海くんに会釈する。
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