シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 そんな会話をしながら階段を昇り、鳴海くんは二階の部屋を開けた。フローリングの廊下に鞄を置き、「それじゃあ行こうか」と先を促された。

 部屋の様子を見てみたい衝動に駆られるが、帰ったらじっくりと見れる。

 私は鳴海くんと手を繋ぎ、彼と二人きりのデートを楽しむ事にした。

「たまに食べたくなる」と意気投合して、ハンバーガーショップでドリンクセットを頼み、一度聞いてみたかった歌声を聴きにカラオケにも行った。

 鳴海くんは好きなアーティストだと言って"FAVORITE"という男性アーティストの歌を聴かせてくれた。マイクを通すと声が変わる体質らしくて、意外に上手くて驚いた。

 その後は服屋さんや雑貨屋さんのショップめぐりをして、晩ご飯はお弁当屋さんに立ち寄った。好みのお弁当をテイクアウトをし、手を繋いで彼のアパートへ帰った。

「お邪魔します」

 兼ねてから鳴海くんの部屋を見てみたいと思っていた。玄関で靴を脱ぎ、彼に続いて細い廊下を進む。入ってすぐに洗濯機が置いてあり、三点ユニットバスのドアが有り、備え付けの小さな冷蔵庫とキッチンが右手にあった。

 リビングへの扉を開けると、六畳一間のワンルームでテレビと作業に使っていると思われる机とノートパソコンとミシンが置いてあった。

 いつも提げている黒い大きな鞄やアジャスターのそばには、胴体だけのマネキンのようなものも立てられていた。

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