シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「ごめんね、狭くて。出来るだけ掃除はしたんだけど」

 ううん、と首を振り、すぐ横に梯子が有るのに気が付いた。見るとロフトになっているらしく、そこに布団が敷いてあった。

「……なんか。凄く便利な作りだね?」

「うん。結構使いやすくて快適だよ」

 鳴海くんは作業机の横に立て掛けてあった折り畳みの机を出して、その上に買ってきたお弁当の袋を置いた。

「とりあえず適当に座って? お茶でも淹れるから」

「あ、うん」

 私は鳴海くんが出してくれた机の前に腰を下ろした。クッションフロアなのが良いなと思った。

 ふと、男の子の一人暮らしに有りがちな、エッチな本とかDVDは置いてないのかなぁと思い、テレビ台の中をジッと凝視し、キョロキョロと周囲も見回した。

 ロフトの階段側にクローゼットがある事に気付き、きっとあの中だと目星を付ける。そろっと立ち上がり、引き戸を開けようとした所で「コラ」と注意される。

「何やってるの」

「あ。あぁ〜、ごめんね? 何となく中が気になっちゃって」

 テヘ、と誤魔化してシナを作ると、彼は「全く」と嘆息して中を見せてくれた。

 クローゼットの中は掃除機の他に、鳴海くんの洋服とアクセサリーが整然と片付けられていた。

「綺麗好きなんだねー?」と言って振り返ると、「締め切り間際は荒れてるけどね」と彼が苦笑してクローゼットを閉める。

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