シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「あの、うん、そうだけ、」

 ど、の言葉をまた飲み込まれ、熱っぽくキスを繰り返される。

 ーーどうしよう、お風呂。

 冬だから汗臭は大丈夫だとしても、先に体は洗いたい。そう思うものの、彼の行為は止まらない。

 唇の隙間から強引にねじ込まれた舌で歯列をなぞられる。彼のそれが優しい生き物のようにうねり、私の舌と絡み合った。

「……んっ、」

 漏れた声すらも彼に吸い込まれた。

 鳴海くんに頭を抱えて抱きすくめられ、そのままクッションフロアに押し倒される。服の上から胸を触られ、その手つきと深いキスで意識がふわふわと宙を舞った。

 まるで麻酔をかけられたように、頭の芯が痺れて鳴海くん以外、何も考えられなくなる。時にリップ音を立てながら、貪るように唇を求められた。さっきから下腹部がジンジンと疼いている。

「沙耶さんの馬鹿。もう我慢できないから」

「……ん、私も」

 その日、私は彼と繋がった。それは思っていた以上に心地よく、愛おしい時間だった。

 鳴海くんの体温に包まれて、徐々に溶かされていくかのような恍惚感と、重ねた肌をひと時も離したくなくなる寂寥感が絶えず私を支配していた。
 愛しさと寂しさが胸の奥で対峙して、目の端から涙がこぼれ落ちた。

 母でありながらも女として求められるのが、こんなにも幸せな事だとは思わなかった。
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