シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 座ったままで、ふわぁ、と欠伸を漏らし、その仕草ですらも私の目を釘付けにする。初めて見る彼の寝起き姿に、キュンキュンと心臓の奥が締め付けられた。

「うん?」

 鳴海くんはぼんやりとした瞳を瞬いた。私をジッと見つめて、「美味しそうだね」と言った。

「え……?」

 何が? と首を傾げて聞くと、彼の唇が意地悪そうに弧を描いた。

「沙耶さんのハダカ」

 瞬時に赤くなった私に、鳴海くんが再び覆いかぶさったのは言うまでもない。

 空腹を忘れて求め合い、行為が済んだ後になって「お腹すいたねー」と彼がため息をついた。

「お風呂も入ってないよ」

 着て来た服をもう一度着たけれど、エッチをしたせいか、なんだか体が湿っぽい。

「じゃあお湯ためて、二人で浸かろうか?」

「お断りします」

 鳴海くんはお弁当を電子レンジに入れて、ちぇ、と残念そうに肩をすくめた。


 ***
< 375 / 430 >

この作品をシェア

pagetop