シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

「何て言うか、俺。愛梨が可哀想で……、何とかしてやりたいと思うんだけど、どうすれば良いか思いつかないんだよなぁ」

　そこで物憂いため息を吐く澤野くんを見て、急に閃いた。

「澤野くんって……愛梨ちゃんの事好きなんだ？」

「えっ！」

　瞬間、いつもへらへらしている澤野くんの頬が強張り、赤くなった。

「べ、別に。そんなんじゃねーし」

　ーーあー……。図星なんだ。

「それに愛梨は仁の事が好きだから、だから俺っ」

　そこで、澤野くんは私をジッと見た。

「俺は沙耶ちゃんが好きなんだよ」

　私は肩をすくめ、また一つ息を吐き出した。

「愛梨ちゃんに見て貰えないからって、私の事を好きなフリするの、やめた方が良いよ？　そんな事したって、彼女の気は引けないし、私だって迷惑だよ」

「……え」

　澤野くんは狼狽えた。目が左右に泳ぎ、動揺しているのは明らかだ。

「愛梨ちゃんが鳴海くんを好きだからって、素直に応援できるなら、それは凄く立派な事だと思う。でも、澤野くんは矛盾してるよ？　結局の所は彼女に自分を見て欲しいんでしょ？」

「……あ、いや。それは」